#002
贅沢な朝の漆黒
休日のホットサンド
目覚ましが鳴らない朝。
太陽はすでに高く昇っている。
起きる時間を自分で決められる、ささやかな充足感に満たされる。
予定のない休日。誰に急かされることなく、ゆっくりとベッドを抜け出す。
たっぷりある時間を何に使おう。
・・・少し手の込んだ朝食に思いを馳せる。
冷蔵庫を開けると、粒ぞろいのメンバーたちがこちらを覗いている。
思いつくまま、総力戦だな。
贅沢なホットサンドをつくってみるか。
パンの上にレタスを敷いて、目玉焼きを滑り込ませたら、分厚く切ったベーコンを乗せる。
トマトとチーズを挟むのも忘れない。
ホットサンドメーカーで片面を2分ずつ焼いたら、中身が溢れそうな特製サンドイッチの出来上がり。
かぶりつく。美味い!
・・・でも、何か物足りない。
おっと、もう一人の主役を忘れてた。漆黒の「ヤツ」がいない。
ホットサンドが冷める前に、コーヒーを淹れ始める。
いい香りがしてきた。
窓の外を見る。
輝く太陽はさらに高いところにいた。
ささやかな朝の贅沢が、心が大きく満たしてくれた。