【コーヒー発見の2大伝説】カルディとオマールの物語

2022/01/19
【コーヒー発見の2大伝説】カルディとオマールの物語

今や私たちの生活に身近な存在となったコーヒー。

そのコーヒーが初めて見つかったのは、一体いつごろのことなのでしょうか?

実はその起源ははっきりとは分かっておらず、ただ物語として伝えられているものが存在するだけです。

このコーヒーの発見にまつわる物語は「コーヒー発見の2大伝説」と呼ばれ、今に語り継がれています。

この記事ではこれらコーヒー発見の物語をついてお話していきます。

コーヒー発見の2大伝説とは?

冒頭でも述べましたが、コーヒーの歴史的な発見時期は正確には分かっておらず、伝説として語られているのみです。

その中で有名な物語は2つあり、

・9世紀エチオピア ヤギ飼いの少年カルディの伝説

・13世紀イエメン 僧侶オマールの伝説

これらが2大伝説と言われています。

では、それぞれの伝説について詳しく見ていきましょう。

9世紀エチオピア ヤギ飼いの少年カルディの伝説

9世紀エチオピア ヤギ飼いの少年カルディの伝説

もっとも古く、もっと有名な話のひとつがヤギ飼いの少年カルディの伝説です。

カルディという少年がヤギを放し飼いにしていたところ、普段はおとなしいはずのヤギが夜になっても元気に飛び跳ねているのをを見て不思議に思いました。

「一体どうしたんだろう?」

その様子がしばらく続いたので、カルディはヤギたちを観察してみました。

すると、彼らは丘の上に生えている赤い木の実をおいしそうに食べているのを発見しました。

その赤い木の実に興味をひかれたカルディはヤギと同じようにその実を食べてみると、不思議なことにあふれるほどの元気が湧いてきたのです。

一日の仕事の疲れも吹き飛ばす“魔法の木の実”のパワーにカルディは驚きました。

ところ変わって、エチオピアの修道院では、修道士(僧侶)たちは夜中に祈りを捧げる修行をしていました。

しかし、修道士たちはいつも睡魔に襲われてしまい、まともに祈りを捧げることができません。

そんな折、たまたまカルディのもとを通りかかったある修道士が夜になっても元気なカルディとそのヤギたちの様子を見て不思議に思い、彼に話しかけました。

「君たちは夜なのにどうしてそんなに元気なんだい?」

そう尋ねられて、カルディは答えました。

「この赤い木の実の食べているからですよ。」

コーヒー発見の伝説

修道士も試しにその赤い木の実をかじってみると、たちまち眠気が吹き飛び修行のための長いお祈りも無事乗り越えることができました。

この赤い木の実の存在は他の修道士にも伝わっていき、彼らの間で修行中の眠気を吹き飛ばす“秘薬”として伝えられるようになりました。

13世紀イエメン 僧侶オマールの伝説

13世紀イエメン 僧侶オマールの伝説

もうひとつの有名な伝説が1260年頃のイエメンの僧オマールの物語です。

イスラム教の聖職者シーク・オマールは人々から尊敬される立派な僧侶でした。

当時のイエメンでは疫病が流行っており、オマールは祈祷を捧げることで人々の疫病を治療していました。

ある時、王様の娘もその病にかかってしまい、オマールは王の娘を癒すべく王室に招かれます。

しばらく一心に祈祷を行っていたのですが、オマールは祈りを捧げる中で美しい王様の娘に恋心を持ってしまうのです。

しかし当時、身分の違う者同士の恋愛や結婚が許されなかったため、王様にそのことを知られたオマールは王の逆鱗に触れ、町を追放されてしまいます。

オーサブという山の中で食べる物もなくさまよっていたオマールは一羽の鳥が赤い木の実をついばんでいるのを見つけました。

飢えていたオマールは迷わずその木の実を口にしたところ、しばらくすると飢えも癒され、疲れも吹き飛び、気分が爽快になりました。

一方、町では疫病が猛威を振るっており、いよいよとなった人々はオーサブ山に分け入って、オマールに助けを求めに来たのです。

町の惨状を聞いたオマールは少しでも人々の体と心を癒すために、祈りを捧げながら、あの赤い木の実の煮汁を病気の人々に飲ませたのでした。

イエメンの僧オマール

すると病気の人々は体の疲れやだるさがなくなり、たちまち元気になっていったのです。

おかげで人々は救われて町は復活しました。

この功績のためにオマールはますます人々から崇められ、再度聖職者として町にとどまることが許されたのです。

実はオマールがいた町の名前は後にコーヒー豆の積出港となっている「モカ」です。

今やモカはコーヒー豆の名前としても有名ですよね。

オマールはこの地名にちなんで「モカの守護聖人」と呼ばれるようになりました。

まとめ 伝説に現れる赤い木の実とは?

コーヒーの発見にまつわる2つの伝説はいかがだったでしょうか。ちなみに、カルディの話はキリスト教を背景に、オマールの話はイスラム教を背景にしていると言われています。

これらの話に出てくる「赤い木の実」とはもちろん「コーヒーの実」のことです。

私たちは普段コーヒーの原料だと思っているものは、この木の実の豆の部分であり、実際のコーヒーの実はチェリーのような赤い色をしています。

コーヒーの赤い実

もちろんこれらの話が真実であるかどうかは分かりません。いえ、むしろ多く脚色の入った伝説であると考える方が良いでしょう。

しかしながら、コーヒーの覚醒効果や眠気覚ましの効果は昔から仕事や修行のために利用されていたことは事実のようです。

今も昔も私たちとコーヒーの関わりは根本的に変わっていないということが興味深いですね。

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