消費者と生産者をともにハッピーに!スペシャルティコーヒーの魅力とは?
最近になって注目を浴びつつある「スペシャルティコーヒー」という言葉。
すごく簡単に言うと、高品質でおいしいコーヒーのことです(笑)
しかし一体何が特別で、普通のコーヒーとはどこが違うのかはご存知でしょうか。
今回は「スペシャルティコーヒーとは何か?」について知ってもらい、スペシャルティコーヒーの魅力に気づいてもらいたいと思います。
スペシャルティコーヒーとは?
スペシャルティコーヒーとは、そのコーヒー豆が持つ特性を最大限に引き出した最高品質のコーヒーです。
産地特性を活かすために浅煎りで飲まれることが多く、果実由来の酸味や甘味が感じられることが特徴です。
苦みのきいたいわゆるコーヒーというよりも、「フルーティーな酸味のきいたお茶」という印象を受けることもあるくらい、一般的なコーヒーとはテイストの異なるコーヒーです。
コーヒーのグレードについて
流通しているコーヒーにはグレード(階級)というものがあり、以下の4つに分類されています。
・スペシャルティコーヒー
・プレミアムコーヒー
・コモディティコーヒー
・ローグレードコーヒー
スペシャルティコーヒーは最高ランクに位置するものですが、他のグレードについても知ることで相対的によりスペシャルティコーヒーの魅力が伝わると思います。
それぞれの違いと特徴について簡単に説明していきます。
ローグレードコーヒー
生産国内で流通したり、缶コーヒーの原料になるコーヒーです。
世界のコーヒーの流通量の約40%を占めると言われています。
欠点豆も多い低品質・低価格のコーヒーです。
コモディティコーヒー
先物取引で売買されている一般的なコーヒー。
国ごとに設定された規格を満たせば、産地や農園をとわずに同じコーヒーとして流通します。
この中でも等級があり、コモディティコーヒーでも品質の良いものはとてもおいしくいただけます。
最近のコンビニコーヒーもこのランクの豆を使っており、流通量としては全体の約50%と言われています。
プレミアムコーヒー
品種や産地の分かるコーヒーです。
「ブルーマウンテン」や「マンデリン」などのいわゆるブランド豆を指します。
市場では最高品質の高級品として流通しており、流通量全体の約5%と言われています。
スペシャルティコーヒーの2つの定義
では、今回のテーマであるスペシャルティコーヒーについて見ていきます。
スペシャルティコーヒーの流通量は全体の約5%と言われています。
プレミアムコーヒーもコーヒー豆としては高級品でおいしいのですが、スペシャルティコーヒーにはさらに二つの厳格な認定要件があります。それは
1. 流通経路がはっきりしていること(トレーサビリティ)
2. 日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)に認定されていること
です。
では、それぞれ詳しく見ていきましょう。
流通経路がはっきりしていること(トレーサビリティ)
日本スペシャルティコーヒー協会のHPにはこのように書かれています。
カップの中の風味が素晴らしい美味しさであるためには、コーヒーの豆(種子)からカップまでの総ての段階において一貫した体制・工程・品質管理が徹底していることが必須である。(From seed to cup)
日本スペシャルティコーヒー協会は、「コーヒーの本当のおいしさを引き出すためには生豆の時から丁寧に管理をしていかなければならない」という考えからトレーサビリティ(追跡可能であること)を大切にしています。
産地やそこで働く人たちの顔までちゃんと分かるからこそ、丁寧な品質管理ができ最高の豆を届けられるという考えの上に成り立っています。
スペシャルティコーヒー協会の7つの基準を満たしていること
スペシャルティコーヒーは日本スペシャルティコーヒー協会(以下、SCAJ)によって認められたものでなければなりません。
カップ・クオリティの判定には7つ基準があり、以下の7つの基準を満たしている場合のみスペシャルティコーヒーとして認定されます。
1.カップ・クオリティのきれいさ
液体としての透明感や美しさがあることです。
濁りがあると、それが味への阻害要因になっていると考えられます。
2.甘さ
おいしいコーヒーはコーヒーチェリーの果実由来の甘味を感じることができます。
3.酸味の特徴評価
また品質の高いコーヒーは、甘味と同様に果実由来の酸味が感じられます。
おいしい酸味は酸化による刺激的な酸味ではありません。
爽やかでフルーティーな酸味が高品質なコーヒーが持つ酸味です。
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4.口含んだ質感
口に含んだ時の粘り気や密度や舌ざわりで質感が判断されます。
高品質なものほど、舌触りがなめらかなものになっています。
5.風味特性・風味のプロフィール
生産地の風味特性を最大限に感じることができているかが判定されます。
スペシャリティコーヒーは「栽培地の特性(Terroirと言います)」を最大限に引き出すことを目指しており、そのために豆の品質管理(トレーサビリティ)を重視しています。
「豆の味を最大限に引き出す」という点ですべてが一貫していると言えますね。
6.後味の印象度
後味もコーヒーの印象を決める大切な要素なので、飲んだ後に甘味を感じるか、渋みが残らないかなどを判定します。
7.バランス
風味のバランスに調和がとれており、欠けているものや突出しているものがないかが判定されます。
スペシャルティコーヒー協会が生まれた経緯
スペシャルティコーヒー協会の発祥の地はアメリカです。
誕生のきっかけとなったのは1960年代にコーヒーの普及が広まるにつれて、価格競争が激化し、低価格・低品質なコーヒー豆が増えていったことです。
低品質なコーヒーは産地ごとの味の違いや豆の品質の違いを感じにくくするために、深煎りにしてしまいます。
そういうコーヒーばかりになると、お客さまが本当のコーヒーの味を理解できないだけでなく、生産者の利益も減ってしまいます。
この流れを止めるために、1982年に米国スペシャルティコーヒー協会が設立されました。
「本当においしいコーヒー」の再興を目指して、浅煎りでもおいしい本物のコーヒーを認定することで、消費者は本当のコーヒーの味を知り、高価格・高品質の豆が売れるようになるため生産者の利益にもなります。
こうして、高い理念を持ってアメリカのスペシャルティコーヒー協会(SCAA)が誕生しました。
その後、1991年にブラジルスペシャルティコーヒー協会、1993年にコスタリカスペシャルティコーヒー協会、1998年にヨーロッパスペシャルティコーヒー協会、2003年に日本スペシャルティコーヒー協会が誕生し、世界中にスペシャルティコーヒーのブームが起こっていきます。
フレーバーホイール
米国スペシャルティコーヒー協会がコーヒーの風味を具体的に表現できるように、フレーバーホイールというものが開発しました。
2016年に最新のものが更新されています。
著作物のため、こちらのリンクから確認してください。
コーヒーの複雑な味わいを誰でも理解できて、誰でも表現できるようにするための試みですね。
このフレーバーホイールを使えば、「ナッツのような」「チョコレートみたいな」といった表現が使えるようになりますよ。
またこちらの記事でコーヒーの風味や香りについて詳しく紹介しています。
まとめ
スペシャルティコーヒーとは、日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)が高品質なコーヒーと認めたものです。
コーヒーの本当の価値を広め、消費者にとっても生産者にとってもメリットがあるビジネスモデルを確立することが理念であるのは素晴らしいですよね。
単純な利益優先思考ではなく、持続可能性も考えた現代的な取り組みだと思います。
最近はこだわりのカフェだけでなく、通販でもスペシャルティコーヒーを注文することもできるので、興味があったら是非一度試してみてください。