酸味系?苦み系?バランス系?各国のコーヒーを味わい別に分けてみた
コーヒーは暑い地域で育つため、赤道から北緯と南緯に25度以内の「コーヒーベルト」と呼ばれる地域で栽培されています。
具体的には中南米、アフリカ、東南アジア、中央アジア、南アジアなどの地域。国名でいうとブラジル、イエメン、ジャマイカ、インドネシア、インド、コロンビアなどが挙げられます。
コーヒーを買う時にこれらの国名が書いてあるのを見たことがあると思いますが、コーヒーには様々な種類があるのでどこの国の豆にどういう特徴があるのか把握しきれないですよね。
ざっくりと豆ごとの特徴を理解してもらえるよう、代表的な豆の特徴を簡単に説明をしていきたいと思います。
コーヒーの味の区別は、酸味系か苦味系か
まずコーヒーの味わいは酸味と苦味で大きく分けることができます。
日本では苦み系のコーヒーが人気ですが、最近流行りのサードパーティー系のカフェやスペシャルティコーヒーブームによって酸味系のコーヒーの人気も高まってきています。
まずは大きく「酸味系」と「苦み系」に分類し、その両者のバランスが取れているものを「バランス系」として分類していきます。
地域ごとの大まかな味の分類
次に地域ごとの味の違いですが、まずざっくりと
中南米は「バランス系」
アフリカは「酸味系」
と認識しておくと捉えやすいかと思います。
この分け方に当てはまらないコーヒー豆もたくさんありますが、このような傾向があると考えておくとまずは理解しやすくなるはずです。
バランス系コーヒー
ではさっそく、味わいごとに豆を分類していきましょう。
一つ目はバランス系です。
バランス系は文字通り酸味と苦みのバランスが取れた上品な味わいのコーヒーで、日本では高級豆とされることが多いです。代表的なものがブルーマウンテンですね。
バランス系は中南米の国が多く、ブルーマウンテンも中米のジャマイカで栽培されています。
では具体的に見ていきましょう。
ブラジル・サントス
バランス系コーヒーとして最も代表的なものがブラジルコーヒーです。
サントス港から輸出されることから「ブラジル・サントス」というブランド名で呼ばれることもあります。
ナッツ感と適度な苦みがあり、日本でも人気のコーヒー豆です。
コロンビア
適度な苦み、まろやかなコク、フルーティな香り、濃厚な甘み、ほのかな酸味と様々な味わいが混ざり合ったバランス系のコーヒーです。
少し温度を下げると、甘味をより強く感じることができます。
ジャマイカ(ブルーマウンテン)
ジャマイカコーヒーというと、最高級ブランド「ブルーマウンテン」が有名ですね。
ブルーマウンテンエリアという特定の地域で栽培されている豆をこのように呼んでいます。
苦味、酸味、甘味、コク、すべてにおいて調和の取れた味わいで、すっきりとした飲み心地が特徴となっています。
メキシコ
メキシコはブラジル、コロンビアに次ぐコーヒー大国と言われています。
ほどよい酸味と香りを持ち、マイルドで上品な味わいで万人受けするコーヒーです。
癖が少ないため普段飲む用のコーヒーに適しているでしょう。
エルサルバドル
マイルドな酸味とすっきりとした後味が特徴的です。
もともとは配合用の豆として使われることが多かったのですが、近年はシングルでもよく飲まれています。
ペルー
南米らしいナッツ感と後味に甘味が感じられます。
マイルドで軽めのコク、ほど良い酸味と苦みなどバランスの取れたコーヒーです。
キューバ
苦味が少なく、まろやかな口当たりと甘い香りが特徴です。
味に癖がなく苦みと酸味のバランスが取れた飲みやすいコーヒーで、コーヒーが苦手な人でも飲みやすくなっています。
キューバコーヒーの最高級品質の豆は「クリスタルマウンテン」と呼ばれ、キューバ―中央部の標高1,000メートル以上の山脈地帯で栽培されています。
同じカリブ海に位置するジャマイカの「ブルーマウンテン」に似た味わいと言われています。
酸味系
次に酸味系のコーヒーを見ていきましょう。
日本では苦みのあるコーヒーの方が人気があり、酸味の強いコーヒーはあまり人気が高くありませんでした。
しかし最近はスペシャルティコーヒーブームもあって浅煎りの酸味系コーヒーの人気も高まってきています。
コーヒーの酸味には二種類あり、高品質なコーヒーはフルーティで爽やかな香りと甘みを感じることができます。
酸味についてはこちらの記事にもまとめています。
イエメン・エチオピア(モカ)
酸味系コーヒーで代表的なものがモカです。
モカはコーヒー発祥の地と言われるイエメン・エチオピアのコーヒーです。
この地域で取れたコーヒーはモカという名前の港から世界中に輸出されていたため「モカ」というブランド名がつきました。
独特の風味とコクを持った豆で世界最高の味と評されています。
フルーティーな酸味のきいたあっさりとしていて、まるでお茶のような澄んだ味わいになっています。
ケニア
ケニアのコーヒーは日本への輸出量が少ないため知名度はそれほど高くはありませんが、世界的には人気も知名度も高い豆です。
近年のスペシャルティコーヒーブームの後押しもあり、徐々に人気も高まってきています。
ケニアのコーヒーは風味の豊かさが特徴で、焙煎の度合いによって味わいが大きく変化します。
深煎りにするとしっかりしたコクと苦みに、爽やかな甘みのあるコーヒーになる一方、浅煎りだと酸味が引き立ち、柑橘系のさわやかでフルーティーな香りを楽しむことができます。
タンザニア
タンザニアのコーヒーは「キリマンジャロ」というブランド名の方がよく知られているかと思います。
タンザニアコーヒーは強い酸味と深いコク、スッキリとした柑橘系の香りが特徴です。
パンチのある酸味と香りから「野性味あふれる味わい」と評されることもあります。
パプアニューギニア
オセアニア地域にあるパプアニューギニア。
コーヒー栽培の歴史は比較的新しく1930年代になってからです。
パプアニューギニアのコーヒーはフルーティーで甘さのある香りが特徴です。
どんな焙煎の度合いもおいしく味わうことができ、浅煎りにすると酸味が際立ち、深煎りにするとコクのある苦みを味わうことができます。
グァテマラ
グアテマラコーヒーも果物のようなやや強めの酸味がうり。花のような芳しい香りも感じられます。
栽培される地域によって違いもあり、チョコレートやナッツの甘味、オレンジやリンゴのような酸味などのバリエーションがありますが、グアテマラコーヒーは総じて複雑な味わいと香りを持っています。
ブレンド用として使われていることが多かったですが、最近はシングルでも飲まれています。
ハワイ・コナ
ハワイで取れる高級コーヒー「ハワイコナ」。
全世界のコーヒー生産量の1%以下で大変貴重なものになっています。
味の特徴はフルーティな酸味と滑らかなコクと甘い香りで、苦みはあまり強くありません。
南国のフルーツを感じさせる酸味と香りを楽しむには、低温のお湯で淹れることがおすすめです。
苦み系
最後に苦み系のコーヒーについて見ていきます。
基本的に深く焙煎すると苦みの強いコーヒーは作れますが、同時に味は均一化し個性も失われてしまいます。
深く焙煎することでより味わいを増すコーヒーは限定されていますが、インドネシアのマンデリンが苦みを味わえる代表的なコーヒーです。
マンデリン(インドネシア)
インドネシアは世界四位の生産量を誇りコーヒーの生産地として有名ですが、そのうちの数パーセントが「マンデリン」というブランドのコーヒー豆です。
マンデリンは酸味が少なく、重厚なコクと柔らかい苦み、シナモンとハーブのような風味が特徴。深煎りにすることで個性を発揮することができる珍しい豆です(通常は浅煎りの方が個性が出やすい)。
ジャバ・ロブスタ(インドネシア)
ロブスタ種とはインドネシアやアフリカなどで栽培されている豆です。
これまで紹介してきたブランド系の豆はすべてアラビカ種と呼ばれるもので、ロブスタ種とはコーヒーの原種が異なるものです。
原種についてはこちらの記事にまとめています。
ロブスタ種は栽培しやすく量産ができるので、日本では缶コーヒーやインスタントコーヒーなどにブレンドして使うために安価で輸入されています。
あまり質の良いコーヒーではありませんが、その中でも高品質とされるのがジャバ島で栽培されるジャバ・ロブスタと呼ばれるもの。
通常のロブスタ種は独特の臭いがあり、コクもありませんが、ジャバ・ロブスタは臭みがなくガツンとくる苦みとコクがあります。
苦味をしっかりと味わいたい人におすすめのコーヒーです。
まとめ
コーヒーにはさまざまな種類があり、すべてを覚えるのはとても大変です。
やはりコーヒーの味わいは飲みながら舌で覚えることが大切ですが、コーヒー選びの際にある程度は事前に知識があった方が選ぶ面白さを感じることができるでしょう。
まずはざっくりと
中南米・・・バランス系
アフリカ・・・酸味系
マンデリン、ロブスタ(インドネシア)・・・苦み系
という分け方を押さえて、個別の国ごとにコーヒーを味わっていくと覚えていきやすいのではないかと思います。
素敵なコーヒーライフを楽しんでいきましょう!