コーヒーの味を決める焙煎を理解しよう!
「中煎り」や「深煎り」という言葉がコーヒー豆の焙煎度合いであることはご存知かと思いますが、それぞれの意味や基準、また味わいの違いについてはどうでしょうか?
コーヒー豆は焙煎の味を決める大切な工程なので、コーヒーのことを詳しく知るためには焙煎の知識が欠かせません。
この記事では焙煎(ロースト)について詳しくお話していきます。
焙煎とは?
焙煎とはコーヒーの生豆に熱を加えて焦がす作業のことです。
もともとコーヒー豆はこのような緑っぽい色をしており、この時点ではコーヒーらしい良い香りはありません。
この生豆を加熱することで中の成分に科学変化が起こり、コーヒーらしい良い香りと味わいが生まれます。焙煎によってコーヒー豆はコーヒーになるわけですね。
ローストによる味わいの違い
コーヒーの焙煎度合いを大きく分類すると
・浅煎り
・中煎り
・深煎り
と分けるのが一般的です。
またローストによる味の変化は
浅ければ浅いほど「酸味」
深ければ深いほど「苦み」
が際立つようになります。
自分の好みはどちらか、またどちらのテイストを引き出したいかを考えて焙煎度合いを決めましょう。
判断が難しければ焙煎士にお任せすれば、その豆に合った焙煎の仕方を考えてくれます。
焙煎の度合いについて
先ほど3つの分類をさらに8種類に分けるのが世界の標準的な分け方になります。
その分類は以下の通りです。
浅煎り
・ライトロースト
・シナモンロースト
中煎り
・ミディアムロースト
・ハイロースト
・シティロースト
深煎り
・フルシティロースト
・フレンチロースト
・イタリアンロースト
ただし、この分類は焙煎士やバリスタやカフェによって微妙に違う場合もあり、あいまいなものだったりします。
焙煎度合いは厳密に分けられるものでもないので、あくまでも目安とお考え下さい。
それではこれらの分類について詳しく見ていきます。
ライトロースト
ほぼ生豆に近い状態であり、この豆で淹れたコーヒーが飲まれることはあまりありません。
シナモンロースト
まだ青臭さが残っており、シナモンローストの状態で飲むことはほぼないでしょう。
浅煎りは酸味が強く出るため、豆の酸味を強く感じたいという方におすすめです。通好みの飲み方です。
ミディアムロースト
豆は熱を加えると次第に膨らみ、やがてパチパチという破裂音共に豆の表面がはじけていきます。
この現象のことを「ハゼ」と言い、最初に起こるものを「1ハゼ」と呼びます。
ミディアムローストは「1ハゼ」の終わりごろで焙煎をやめたものを言い、比較的浅めの煎り方です。
焙煎度合いが浅いため酸味が強く、苦みの弱い味になります。
スペシャリティコーヒーにこだわったサードウェーブと呼ばれる最近流行りのお店では、「酸味」を味わうためにミディアムローストにすることが多いです。
ハイロースト
ハイローストは「1ハゼ」の後、数分間おいた状態を言います。
丁度真ん中に位置する中煎りで、酸味と苦みのバランスが最も良いものです。
迷ったらこのまずはこの具合から始めると良いでしょう。
シティロースト
先ほどコーヒー豆がパチパチと音を立ててはじけることを「ハゼ」と言いました。ハゼは焙煎中に2度起こり、二回目のハゼのことを「2ハゼ」と言います。
シティローストは2ハゼの始まりの時に焙煎を終えた状態を言います。
シティローストは中煎りよりも少し深めになり、苦みが出てきます。コーヒー豆の味わいを活かしつつ、苦みも感じたい方はこのあたりの焙煎がおすすめです。
フルシティロースト
フルシティローストは2ハゼの中盤あたりのロースト具合になります。深煎りとして飲むのは通常はこのくらいが限度です。
これ以上煎りを深くすると豆自体の味わいがなくなり、苦味が強くなりすぎてしまうからです。
フレンチロースト、イタリアンロースト
フレンチローストは2ハゼの終盤、イタリアンローストは2ハゼ後さらに数分おいた倍度合いになります。
ここまでくると酸味や甘味はなくなり苦みだけの味になってしまうので、普通のホットコーヒーとして飲まれることはあまりありません。苦みが好きな人にとってはおいしいかもしれませんが、豆の個性は出なくなってしまいます。
缶コーヒーやボトルやパックなどの量産系のコーヒーは深煎りをしていることが多いです。また、アイスコーヒーやカフェオレとして飲むのにおすすめです。
イタリアンローストは、エスプレッソやカプチーノなどの飲み方に適しています。
浅煎りにおすすめのコーヒー豆
浅煎りにすると、コーヒー豆が持つフルーティーな酸味や香りを引き立たすことができます。
そのため最近流行りのスペシャリティコーヒーや本格的なサードパーティー系のカフェでは浅煎りにすることが多いです。
浅煎りでもおいしく飲めるコーヒーは本当に良いコーヒーということができます。
モカ(エチオピア・イエメン)
独特の風味とコクを持った豆で柑橘系の果実ような酸味と甘みが特徴的です。
コーヒー発祥の地と言われるイエメンのモカという地名が由来になっています。昔からある伝統的なコーヒー豆です。
キリマンジャロ(アフリカ・タンザニア)
標高1,500~2,500mのキリマンジャロ山脈で育てられたコーヒー豆のブランドです。高地の環境と豊富な降水量によって、強い酸味と柑橘類のような香りが生まれ、深いコクを感じることができます。
「アフリカの大地を感じさせる野性味のある味わい」
と称されることもあります。
ブルーマウンテン(ジャマイカ)
ジャマイカのブルーマウンテン山脈で育てられたコーヒー豆を「ブルーマウンテン」と呼びます。
コーヒーの王様とよばれ、バランスの良い味、まろやかなコクと酸味、上品な香りを持つ言わずと知れた最高級豆です。
浅めのミディアムローストが最も適していると言われます。
中煎りにおすすめのコーヒー豆
中煎りは酸味と苦みのバランスが良く、基本的にどんな豆にでも合います。また、コーヒーから甘味を引き出したい場合にも中煎りにすることが多いです。
甘味に関する記事はこちら
中煎りは基本的にどんな豆にも合います。
深煎りにおすすめのコーヒー豆
深煎りにすると苦みが強くなり、味が均一化します。逆に豆の個性が消えてしまうので、酸味や甘味を活かした場合は深煎りに向いていません。
あえて深煎りにして、魅力を出せる豆は多くありません。代表的なものはインドネシアのマンデリンが挙げられます。
マンデリン(インドネシア)
インドネシアのマンデリンはコクのある苦みとハーブやシナモンのような風味が特徴です。
一般に豆の個性は浅く煎る方が出やすいですが、マンデリンは深煎りにすることで個性を最大限に発揮することができます。
まとめ
焙煎について知っておくべきこととしては
浅くなるほど酸味が際立ち、深くなるほど苦みが強くなる
ということ。
何がよいのか迷ったら焙煎士やバリスタのおすすめを聞くと良いでしょう。
焙煎はコーヒーの味を決める最も重要な工程です。同じ豆でもローストの仕方を変えるだけでまったく違う味わいになってしまうのもコーヒーの面白さのひとつ。
「豆の個性を最大限に引き出す」ことが焙煎の基本的な考え方ですが、時には焙煎の仕方を変えてみて、自分好みの味わいを探してみるという楽しみ方もできますよ。