コーヒーを使ったマインドフルネス瞑想法とは?
コーヒーをゆっくりと注ぎ、ほっと一息を突く・・・
のんびりとしたコーヒータイムにマインドフルネスに近いものを感じた人もいないでしょうか?
たしかに、気持ちを落ち着かせるという点ではコーヒーと瞑想は近いものがありそうですね。
近年、海外を中心に注目されている瞑想(メディテーション)ですが、一般的には静かに座って目を閉じて行うイメージがあるかもしれません。
しかし、これはひとつのやり方にすぎず、マインドフルネスの本質が分かればコーヒーを淹れる際にも瞑想の考え方を取り入れることはできます。
今回は、コーヒーとマインドフルネスの関係やコーヒー瞑想の実践方法について考えてみたいと思います。
マインドフルネス瞑想とは?
マインドフルネス瞑想とは、もともと仏教の修行であった瞑想がアメリカを中心に研究され、現代社会向けにアレンジされたメンタルトレーニングです。
元来、瞑想は解脱や悟りを目指すものでしたが、マインドフルネスはそのような目的ではなく、瞑想によって得られる精神的なメリットを目的としたものになります。
マインドフルネスを実行するためには以下の二つの点がポイントになります。
・non-judgmental(判断を加えない)
・present-centered(現在の瞬間を中心に置く)
この二つのことが実行できていれば、どんなものでもマインドフルネスと呼ぶことができます。
判断を加えない
マインドフルネスでは「ありのまま」の状態を目指します。
つまり、「今の状態に対して主観的な判断を加えない」ということです。
たとえば、不安や心配という感情はまだ起きるかどうかが決まっていない主観的な判断(思い込み)にすぎません。
今に集中することで、個人的な感情の判断を少なくし、ネガティブな思い込みから解放されていくことがマインドフルネス瞑想の目的のひとつです。
現在の瞬間を中心に置く
また「ありのまま」という考えは、「今ここを生きる」ということ同義でもあります。
「今ここを生きる」とはつまり、過去や未来を想像せずに今の瞬間にのみ意識を集中させるということです。
過去のことを考えても、悪い思い出なら後悔、良い思い出ならうぬぼれにしかなりません。
未来のこともまだ起きていないので自分の思い込みにすぎません。
今この瞬間に意識を集中させることで、余計な感情に乱されることがなくなり、日々の心の状態が安定するようになるのです。
マインドフルネスの効果
マインドフルネスは現在も科学的な研究が進んでおり、以下のように「身体」「精神」「脳機能」点で様々な効果が認められています。
スポーツ選手も行っていることから、メンタルトレーニングとしてとても優れたものであることが分かります。
身体的な効果
・集中力の増加
・免疫力の改善
・血圧の低下
・血糖値の低下
精神的な効果
・不安の減少
・うつ症状の緩和
・ストレス耐性の向上
脳機能的な効果
・集中力の向上
・記憶力の向上
マインドフルネス瞑想の実践者とは?
現在、マインドフルネス瞑想は国内外のトップ経営者、スポーツ選手や俳優や女優や歌手など、高いパフォーマンスが求められる人たちによっても実践されています。
また、アップル、グーグル、フェイスブック、Yahoo!、IBM、インテルなどのIT企業を中心に企業研修としても導入されています。
個人名で言うと、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ、ツイッター創業者のジャック・ドーシ―、モデルのミランダ・カー、歌手のビヨンセやレディ・ガガやマドンナといった経営者や海外セレブ達も実践しています。
このような最高の成果が求められる人や組織で導入されるということは、「明確な効果がある」からと言えるでしょう。
ジョブズとマインドフルネス
また、アップル創業者のスティーブ・ジョブズもマインドフルネス瞑想を実践していたことは有名な話です。
スティーブ・ジョブズは若い時から精神世界にはまり、インドに放浪の旅に出たり、日本人の鈴木俊隆(しゅんりゅう)という方が記した禅の入門書「禅マインド ビギナーズ・マインド」という本に傾倒し、禅の世界に没頭していきます。
そののち、ジョブズは曹洞宗の僧侶「乙川弘文(おとがわこうぶん)」に出会い、彼を師匠と仰ぎながら、30年間にわたって禅を実践するようになりました。
マインドフルネスがジョブズの創造力を生み出した
ジョブズが世界的なムーブメントになるような商品をいくつも開発できた理由はこのマインドフルネスにあると考えることもできます。
ジョブズは、「自分だったらどういうものが世の中に欲しいか」を常に自分に問いかけて考えてきたと語っています。
そして「自分が心から欲しいと感じられる商品なら、きっと他人もそう思うに違いない」という考えで商品開発を行ってきました。
またジョブズのすごいところは、商品への欲求を喚起する広告宣伝、いわゆるマーケティング活動は行わなかったことです。
本質的に人が欲しいと願う商品を目指して開発してきたので、売るためのマーケティングは不要でした。
マインドフルネス瞑想によって、人間の深層心理をつねに探求していたからこそ、人々の心に刺さるデザインや機能を持った商品のアイデアを思いつくことができたのでしょう。
日常生活のマインドフルネス実践法
では、マインドフルネス瞑想の実践方法について見ていきます。
マインドフルネスで大切にするべきことは、先ほども述べた
non-judgmental(判断を加えない)
present-centered(現在の瞬間を中心に置く)
の2点です。
この二つのことを意識すれば、マインドフルネス瞑想は実践することができます。
呼吸に集中する
もっともベーシックな瞑想法は呼吸に集中するやり方です。
まずは落ち着いた環境で、背筋を伸ばして座り、目を閉じて、自分の鼻腔またはお腹に集中して呼吸の流れを感じます。
このとき、わざと呼吸のリズムを整えようとする必要はなく、ただ自然な呼吸の動作を感じるようにします。
呼吸以外のことは考えず、呼吸のみに集中している状態がベストな状態です。
もし雑念が浮かんだり他に気が散ってしまったときは、それに抗おうとするのではなく、一度その思考を受け入れることが大切です。
「あぁ、今別のことを考えているなぁ」
と客観的に自分のしていることを見つめなおすのです。
そしてもう一度呼吸に集中するように戻していきます。
このように、ひとつのことに集中するトレーニングがマインドフルネス瞑想の基本的な考え方と実践方法になります。
歩く瞑想(ウォーキング・メディテーション)
瞑想は必ずしも座って行うものではなく、「今」に集中することができていれば他のやり方でも実践できます。
そのひとつが、歩く瞑想(ウォーキング・メディテーション)です。
歩く瞑想とは、普段何気なくしている「歩く」という動作に意識を向け、手足の動きや地面の感触などを確かめていく瞑想法になります。
背筋を伸ばし、「かかとが上がる」「つま先が上がる」「移動する」「着地する」の4つの動作を丁寧に意識しながら、ゆっくりと歩いていきます。
このように「歩く」という日常の基本動作でも、マインドフルネスを意識することができます。
コーヒーでマインドフルネスを実践しよう!
マインドフルネスの本質が理解できれば、コーヒーを淹れる際にもマインドフルネス瞑想を実践することができます。
特にコーヒーは心を落ち着かせる飲み物なので、マインドフルネス瞑想との親和性は非常に高いと思います。
それでは具体的な実践方法についてみていきましょう。
コーヒーを淹れるまでの間
マインドフルネスを実践するために、コーヒーを淹れるまでの過程のひとつひとつに集中していきます。
コーヒー豆を量りで測ってミルに注ぎ、手動であれば豆を挽く動作の一つ一つに意識を集中させます。
さらに豆を挽くとコーヒーの香りが立ってくると思うので、その香りに意識を向けてみましょう。
ドリップのときにはコーヒーの中央に向かってゆっくりとお湯を注ぎ、コーヒーの粉の表面の変化や、沸き立つ香りを感じながらコーヒーを淹れていきます。
一杯のコーヒーを丁寧に作ることを意識すれば、おのずと瞑想と同じ効果があります。
コーヒーの一滴一滴の色、香り、味を味わう
コーヒーサーバーに取ったコーヒーをすぐにカップに移すのではなく、まずはサーバーを回してコーヒーの表面の色味や香りを楽しんでみましょう。
次にゆっくりとカップに注ぎ、少量を口に含みます。口に入れた時に広がる香りや舌の上で転がしてみたりしながら、コーヒーの味わいを感じていきます。
飲み込むときも少しずつのどに運び、のどを通るときの温度や感触をじっくりと感じるように飲んでいきます。
こうして五感をフルに動員してコーヒーを最大限に味わうことで、マインドフルネスの効果を得ることができます。
まとめ
今回はコーヒーとマインドフルネスの関係について詳しく見ていきました。
マインドフルネスで大切なことは以下の二つになります。
・感情的な判断を加えないこと
・現在の瞬間を中心に置くこと
この二つを実践するためには、今の自分の考えや行動に意識を向け続けることがマインドフルネス瞑想になります。
これを応用させると、コーヒーを淹れる際にもその過程のひとつひとつに集中し、またコーヒーの一滴の味や香りに意識を向けると、マインドフルネス瞑想と同じ効果を得ることができます。
コーヒーにはさまざまな健康的な効果がありますが、マインドフルネスも同様です。
このふたつを日々の生活の中に同時に取り入れて、精神的な豊かさをより高めていってもらえればと思います。